国連英検特A級に合格した話(筆記編)

 

最後の更新から3カ月以上経過してしまった。

 

 

実は昨年秋ごろから今回取り上げる国連英検特A級の勉強を始め、多くの時間をその勉強に充てていた。

 

 

先日、約半年弱の努力が実り、無事合格することができたため、今後数回の投稿でその道のりと対策を記録に残すことにした。ややマイナーな試験であまり対策ブログもないため、これから受ける方々にとって少しでも参考になれば嬉しい。

 

 

ちなみに、仕事の兼ね合いもあり、今回の試験勉強に充てられた時間は1次・2次合わせてもせいぜい2~3カ月ほどだった。そのため、これから紹介するのは付け焼き刃の対策でしかない。自分でも合格できたのはほんとに運が良かっただけだと思う。ゆえに、以下に紹介するやり方は、あくまで時間がない方向けの対策だということを念頭に置いて読んでいただきたい。

 

 

しっかりとした対策をお探しの方は是非とも以下の方のブログを参考にしてほしい。 eigoblog0405.com

 

 

おそらく多くの受験者がこの方のブログを参考にされているのではないだろうか。国連英検だけでなく、英語に取り組む姿勢や最終的な英語学習の帰結など、多くの点で参考にさせていただいた。私のブログなどよりはるかに分かりやすく丁寧にまとめられているので、まずはこの方のブログを読んでみてほしい。そして時間があれば、こちらのブログにも目を通してもらえれば幸いだ。

 

  

 <目次>

 

  

国連英検とは

 

 

英語の勉強をしている方であれば、国連英検の名前くらいは聞いたことがあるかもしれないが、多くの人々にとっては初めて耳にする試験かもしれない。

 

 

国連英検日本国際連合協会という組織が主催していて、その名の通り国連関連の知識が問われる英語の試験だ。合格すると、外務省経由で国連機関に派遣される際に受ける「JPO派遣候補者選考試験」という試験で加点となるらしい。

(詳しくは公式HPを参照 → 国連英検 : 試験概要

 

 

英検やTOEICなどの他の英語系の試験が純粋な英語力を計ることを目的としているのに対し、国連英検(特A級)は英語を使えるのを前提に国連の問題に答えるというニュアンスがやや強い。英語の試験というより、海外の大学で「国際連合概論」という名の授業を半年間履修したような、そんな感じに近い気がする。なんにせよ、どれだけ英語ができても国連関連の勉強・知識がないと受からない。

 

 

だからといって英語力がいらないかというとそんなことはなく、上記の公式HPによれば、特A級合格者のTOEIC平均は965点以上、英検1級保有率は91.1%というレベルの高さだ。

 

 

個人的にこの国連英検という試験そのものは前から知っていたが、受けようとは考えてなかった。理由はいくつかあるが、一番大きかったのはやはり国連関連の勉強が面倒だったからだ。

 

 

自分の場合、国連機関で働きたいという願望もなければ、何年か前に英検1級にも合格していたため、英語系の保有資格にもある程度満足していた。そのような状況で、受かっても大して役に立たず、しかも受かるためには相当な英語以外の勉強が必要になる国連英検は単にコスパが悪かった

 

 

そんな中、今回受験に踏み切ったのは、コロナ禍で時間を持て余していたことに他ならないが、コロナ禍でだらだらと生活するよりはその時間を利用して何か資格でも取ろうと思ったのが大まかな理由だ。公式HPをみると、特A級合格者のうち優秀者には外務大臣なるものが国連大使から直々にもらえるらしく、とりあえずはそれを受賞することを目標に設定した(そしてすぐ挫折した)。

 

 

今回受けた特A級で唯一ありがたかった点はリスニングがないところだ。正直、B級まではリスニングがあるのに最上位の特A級とA級からはリスニングがなくなるという試験形式は総合的な英語力を試す上でどうなのだろう。まあ、なんにせよ助かる。

 

 

前置きはこのくらいにして、これ以降は自分が試みた対策を項目別に紹介していきたいと思う。今回の記事では1次の筆記試験(記述を除く)の対策を紹介する。

 

 

 

1次試験対策

 

時間配分と得点目安

 

1次試験の構成と内容をざっくりまとめると以下の通りだ。()内は自分が設定した目安の解答時間(計120分)。あくまでも目安なので、多くの場合、想定通りにはいかなかったが、目標設定としてはおおむね間違ってはなかったと思う。

  

Ⅰ:国連知識(5分)

Ⅱ:長文読解(国際情勢)(20分)

Ⅲ:文法(正誤判断)(10分)

Ⅳ:文法(活用変化)(10分)

Ⅴ:長文読解(現代文)(15分)

Ⅵ:語彙力(単語組合せ)(10分)

Ⅶ:語彙力(類義語)(10分)

Ⅷ:語彙力(穴埋め)(10分)

Ⅸ:記述(30分)

 

 

この時間配分を念頭に置いた上で、以下のような得点配分を目指して勉強に取り組んだ。ちなみに例年の合格基準点は7割前後だ。結果としては、後述する大問Ⅰの予想外の失点以外は概ね目標に近い得点となった。

 

Ⅰ:国連知識(5分)   7/10

Ⅱ:長文読解(国際情勢)(20分)   8/10    

Ⅲ:文法(正誤判断)(10分)   10/10

Ⅳ:文法(活用変化)(10分)   10/10

Ⅴ:長文読解(現代文)(15分)   7/10

Ⅵ:語彙力(単語組合せ)(10分)   10/10

Ⅶ:語彙力(類義語)(10分)   5/10

Ⅷ:語彙力(穴埋め)(10分)   5/10

Ⅸ:記述(30分)   18/20

 

計 80/100

 

 

まず大前提として、今回の試験で私はいわゆる語彙・ボキャブラリー系の問題の対策をあきらめた。国連知識関連の勉強のウエイトが重すぎたのだ。中でも20点分を占める記述対策にはかなりの時間を費やした。

 

 

英検1級などの記述問題のテーマもそれなりに幅広かった気がするが、あくまで英語の試験のため、その分野に精通していなくても何かしら一般論の範囲内で答えることができた。しかしこの国連英検は違う。公式HPに載っている過去の作文テーマをみると、各分野での国連の活動について解答を求められ、それぞれの分野で活動する国連機関の活動内容が頭に入っていないと太刀打ちできない。例えば私の場合、気候変動、環境、人権、開発などの分野に関してはほぼ門外漢だったため、これらをテーマに出題されれば簡単に大量失点に結びつく可能性があった。

 

 

ただ毎年の傾向を見る限り、だいたいその年でホットなテーマが出題されているようなので(例えば2011年には3.11関連のお題など)、これに従えば今年のテーマがコロナ関連のものになる確率は非常に高かった(実際そうだった)。しかしだからといってコロナ関連以外の分野を切り捨てるという選択は私にはできなかった。

 

 

1次試験が約2カ月後に迫るなかで、仕事の時間やこれらの国連関連の勉強時間を差し引くと、語彙力強化・ボキャビルに充てられる時間は非常に限られていた。このわずかな時間を使って仮に単語を数百個程度覚えたところで、とても試験本番の得点に結びつくような成果は期待できない、そのような判断から語彙系の問題への対策はしぶしぶ切り捨てた(同時にこの時点で外務大臣賞もあきらめはじめたことは余談)。

 

 

色々もっともらしい理由を挙げてはいるが、個人的にこの期に及んで単語帳とにらめっこするのが単に嫌だったという側面も大いにある。ボキャビルせずに受かるならそれに越したことはない。

 

 

ちなみに、同じ語彙系の問題でも大問Ⅵだけ満点目標にしている理由は、大問Ⅵの単語選択は語感が養われていれば選択肢の単語の意味が分からなくても解けてしまうからだ。選択肢の単語の意味はどれも似たり寄ったりで真剣に考え始めるときりがないが、とりあえず普段のニュースで使われていそうな単語を選べば自然と正解できた。そういう意味ではニュースを読み慣れていないとややきついかもしれない。

 

 

ざっくりとはしているが、これらの点を前提として、以下にもう少しだけ細かい対策を紹介する。

 

 

暗記問題対策

 

試験問題を開けてまず最初にぶつかるのが大問Ⅰの暗記問題だ。これに関しては、以下の指定テキストからしか問題は出ないので、ひたすら覚えるしかない

新わかりやすい国連の活動と世界 | 公益財団法人日本国際連合協会 |本 | 通販 | Amazon

 

 

大学の軽めの授業で使用するテキストくらいの厚さで、なおかつ半分は和訳のため、思ったよりも暗記箇所は少ない。しかも過去問を解けば分かるが、出題されやすい箇所がある程度決まっているらしく、過去に出た問題を覚えれば半分くらいは取れるような仕様になっている。昨年までは。

 

 

実はこのテキスト、最近刷新され、2019年第2回までが旧テキストからの出題となっており、2020年以降は新テキストからの出題になると公式HPに書かれている。

国連英検 : 指定テキスト 改訂と出題範囲について

 

 

その結果、今年の試験がどうなったかというと、直近の過去問に主題されていた箇所が一切出題されなかった。厳密にいうと、私が解いた2017~18年の計4回+2019年第2回(公式HP経由で過去問を購入すると特典として直近1回分の問題・解答がもらえる)の計5回分の過去問で出題された問題は一切出題されなかった。そのため、それ以前の過去問にはもしかすると出題されていた可能性はある。

 

 

あまりテキストなどにお金をかけたくなかったので、直近4回分の過去問集1冊のみを購入したが、もしかするとそれが裏目に出た可能性はある。しかし、それ以前にテキスト内の出題箇所の配分が変わっていた

 

 

2017~18年の4回+2019年第2回に出題された問題を確認した限りでは、頻出度順に、

 

Ⅳ → Ⅵ → Ⅱ → Ⅲ → Ⅴ、Ⅰ、 付録(ともに計5回のうち1問だけ出題)

 

となっていた(旧テキストのため、新テキストにはないと思われる箇所からの出題もあった)。

 

 

しかし、今回の試験ではⅤ章からの出題が3問もあったほか、なんとⅦ章からも出題があった。また予想通り、Ⅳ章からの出題は多かったものの、どれもノーマークの箇所からの出題となり、結局、得点できなかった。

 

 

また新たなテキストでは、冒頭の章にグテーレス国連事務総長の演説が追加されたため、ここからも出題があるのではないかと予想していたが、その読みも外れることになった。過去のテキストの章と比較すると、どうやら新テキストのⅤ章やⅦ章も大幅改善されたのかもしれない。

(過去テキスト → わかりやすい国連の活動と世界―国連英検指定テキスト | 日本国際連合協会, UNA-J=, 日本国連協会= |本 | 通販 | Amazon

 

 

この予想外の失点に心が動揺したことは言うまでもなく、続く大問IIの長文読解でも緊張とパニックで最初の5分は全く内容が頭に入らず、時間が押してしまった。人間の脳はパニック状態になると認知機能が大幅に低下するらしいが、自分の脳も例外ではなかったらしい。

 

 

過去問をあてにして山を張った自分が悪いとはいえ、ここまで大きく読みを外されるとは思わなかった。次回以降がどうなるのかは分からないが、少なくとも新テキストの傾向がつかめるまでは、山は張らないことをお勧めしたい

 

 

 

読解力の強化

 

 

暗記問題の対策をしつつ、語彙系の問題を捨て、リスニング問題がないとなれば、あとはもう英語の読解力の問題だ。

 

 

 

1次の問題に出題される文章をジャンルごとにざっくり分けるとこんな感じだろうか。

 

・学術的文章(主に大問Ⅱ)

・抽象的随筆(主に大問Ⅴ)

・ニュースの抜粋(主に大問Ⅵ)

・論稿、コラム 

 

 

下2つは英語系のメディアを普段から読めばカバーできる。合格体験記をみると、さまざまな英語の猛者たちが各々の好む英語系メディアをどうだと言わんばかりに紹介しているが、正直、特A級の受験を考えている方であれば、自分が愛用しているメディアの一つや二つくらいあると思うので、これについては受験者各人が普段から用いているメディアを引き続き利用すればいいと思う。あえて個人的意見を述べるなら、BBCやCNNなどの通信社ではなく、新聞や雑誌の方が社説やコラム、寄稿があることに加え、使われている英語そのものの難易度が高いため、おすすめだ。

 

 

私の場合は、個人的バイブルかつ自身の英語力の源となっているFinancial Timesを対策にも利用した。愛用している理由は、①特定の国へのニュースの偏りが少ないから ②政治・経済の両ジャンルをバランスよく読めるから の2点に尽きる。FTはUK、Europe、US、Asia、Middle East、Internationalの6つのEditionを自由に選択できるようになっており、バランスの良さが際立っている。これは国内ニュースであふれている米国メディアと比べると特に顕著だと思う。ただ購読料が高い。毎月三千円弱は持っていかれている。

 

 

下2つの文章はこれでカバーできるとして、上2つの学術的文章と抽象的随筆については、個人的なリソースはなかったが、数カ月程度の勉強のためにわざわざ何か新しい媒体を購読するのももったいないと感じたため、新規の媒体拡充は行わなかった(拡充するとすれば、Foregin AffairsやEconomistあたりだろうか)。

 

 

代わりに、普段読んでいるFTのコラムの中でも特段難易度の高いものを積極的に読むようにした。もともとこの試験勉強とは関係なく通勤時に最低2本は何かしらのコラム・社説を読むことを1日のルーティン・課題としていたが、結局、出題される文章よりも難しい文章に普段から慣れ親しむようにしていれば、試験本番も余裕をもって挑めると思う。その点では普段自身で読んでいる媒体で最も難易度が高く、また自分にとって親しみがない文章をかたっぱしから読むことをおすすめする。難解なコラムは多くの場合、単語レベルも高いため、これらの文章に使われている単語を丁寧に調べれば同時に語彙力強化にもつながると思う。

 

 

個人的には大問Ⅴの抽象的随筆が一番苦手だったが、問題そのものは単語の意味を問うものが多く、語彙力があれば本来はあまり脅威となるような箇所ではないのかもしれない。ただ今回は語彙力強化なしで突破することを前提としたため、少ない語彙力で正解を選ぶためにも内容理解は必須だった。

 

 

 

以上が私の行った主な筆記試験対策だ。読解力や語彙力などの部分は個人差があるため、正直あまり参考にならないかもしれないが、一つの体験談として少しでも役に立てば幸いだ。次回の投稿では記述対策を紹介しようと思うので、よければそちらも目を通してもらえれば嬉しい。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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