Unsocial Hours

諜報員の日々のつぶやき

国際世論の変化

 

お疲れ様です、かるなです。

 

 

 

本日のウォールストリート・ジャーナルは、米国のロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官の寄稿を掲載した。

Seven Fateful Coronavirus Decisions - WSJ

 

 

 

政権関係者がWSJに寄稿するときは、大抵、トランプ政権の取り組みを正当化するだけなのだが、本日のオブライエン補佐官の寄稿は特にそれが露骨だった。

 

 

 

オブライエン補佐官は、コロナ危機の中で「トランプ氏を大統領に持つことができた米国は幸運だ」として、トランプ氏が下した以下の7つの決定・対応事項を称賛した。

 

 

 

 

1.  対策チームの設立(1/29)

ペンス副大統領指揮の下、いまや米国の中で時の人となりつつある専門家Anthony Fauci氏を入れ、早期に対策本部を立ち上げたことを評価。

 

 

 

2.  中国への渡航歴がある人々に対する入国規制(1/31)

中国・湖北省を訪れていた人々の入国を禁止したほか、中国への渡航自粛を米国民に呼びかけた。これによりウイルスの魔の手が米国に及ぶまでに、ある程度の準備を整える時間が生まれたと指摘。

 

 

 

3.  欧州26カ国への渡航歴がある外国人の入国を禁止(3/11)

上記の2つ目の決定と併せて、これらの入国禁止措置は当時大きな反発を生んだが、今見れば英断だったことを強調。

 

 

 

4.  ソーシャルディスタンスに関するガイドラインの発表(3/16)

トランプ大統領は、経済への悪影響を理解していたものの、米国民の命を守るために行動した」「大統領が早期に指導力を発揮したおかげで、米国の経済活動は慎重かつ着実に再開の一途をたどっている」

 

 

 

5.  革新的な治療薬の投与

3/19、抗ウイルス薬「レムデシビル」の有用性を発表。まだ効果が証明されていないものの、研究や一部患者の治療に役立てられていることを指摘。

 

 

 

6.  布マスクを推奨するガイドラインの発表(4/3)

「一部の専門家は布マスクの効果を否定したが、大統領はその効果に関する新たな研究結果を見つけ、米国民に直ちに伝えた」

 

 

 

7.  人工呼吸器の生産拡大

人工呼吸器メーカー10社以上と契約を結び、生産拡大に尽力している事実を指摘。

 

 

 

「これらの決断を下すには勇気がいる。一部の決断は、国民の不満を買う、経済を傷つける、時には大統領の再選を危ぶめるなどと囁かれた。にもかかわらず、トランプ氏は各局面で断固とした行動を取り、米国民を最優先に扱ってきた。そしてこれら一連の行動や決断こそ、私がこれまで目の当たりにしてきたものだ。

 

 

私の見立てでは、ここに挙げた大統領の決断により、数十万人以上の米国民の命が救われた。ウイルスとの戦争はまだ終わっていない。だが、トランプ氏の指揮があれば、米国は必ずこの戦争に勝てると私は確信している

 

 

 

 

 

 

共和党・軍を主な支持基盤としているWSJに、この手の自画自賛系の寄稿が掲載されること自体は見慣れている一方、今回の寄稿はさすがにつっこみどころが多すぎる。

 

 

 

まず1の対策チームの設立に関していえば、もともとアザー厚生長官があまり機能していなかったために、やむなくペンス副大統領をコロナ対応責任者にしたという見方が以前、伝えられていた。

 

 

 

しかも、これまで幾つもの政権を支えてきた専門家のFauci氏は、トランプ政権からはぶられ、最近色々なメディアで、政権側が専門家の主張を無視していると苦言を呈している。

 

 

 

4のソーシャルディスタンスや布マスクのガイドラインについては、政権とCDCの主張が噛み合ってないことが連日指摘されており、マスクに関していえば、3月末まで着用を推奨しないと主張してきたのは他でもないトランプ自身だ。

 

 

 

また5の治療薬については、トランプが専門家の警告を無視して様々な治療薬の投与を進めようとする一方、CIAを含む医療・情報専門家が副作用の危険性を報告している。

https://www.washingtonpost.com/world/national-security/trump-hydroxychloroquine-coronavirus-cia/2020/04/13/54129d64-7dba-11ea-8013-1b6da0e4a2b7_story.html

 

 

 

一方で、渡航規制などの措置はたしかに早かった。日本と比べると段違いの早さで、そのあたりの判断は安倍さんにも見習ってほしい。

 

 

 

ただ全体的に見て、世界最大の被害が出ている国の政権側が本当にこのような見方をしているのであれば、さすがに米国民にも同情する。

 

 

 

 

 

米政府が自らの対応を自画自賛し、傷のなめ合いを行う一方、その国際的な影響力の後退は随処で指摘されている。

 

 

 

本日の英フィナンシャル・タイムズは、「中国には世界的なリーダーシップを発揮するチャンスが訪れている」という社説を掲載し、中国が国際社会を指導できる立場にある事実を指摘した。

Financial Times

 

 

 

これまでフィナンシャル・タイムズは基本的に中国の国際社会における態度を批判することが多く、「中国の好きにさせてはいけない」との主張が基本だったため、個人的にこの社説の内容には驚いた。

 

 

 

社説の中では、「コロナは米軍がもちこんだ」説を唱えた中国外務省報道官による事実無根の発言や、南部でのアフリカ人差別など中国のマイナス面も指摘されたが、ことコロナ対応においては、ニュージーランド、台湾、韓国、香港など比較的小さい国々が成功を収めており、そのような状況下でリーダーシップを発揮すれば、国際社会での立場を強めることにつながると述べている。

 

 

 

あれだけ反中だったFTも、米国のカオス具合に呆れて、米国を正す方向から中国を正す方向にシフトしつつあるのだろうか。

 

 

 

ただそのFTが頼りにする中国は、コロナ危機に乗じて(?)、相変わらず南シナ海での軍事活動を進めているようで、米国の政府内部では警戒の声が上がっているご様子。

With Trump Facing Virus Crisis, U.S. Warns Rivals Not to Seek Advantage - WSJ

 

 

 

コロナ危機が深まるにつれて、「コロナ対応の上手さ = 国力の強さ」みたいな論じられ方が増えている気がする。

 

 

 

その観点からいえば、コロナ危機で国際的な知名度・影響力を最も大きく強めることになるのは台湾だと思う(このまま何もなければ)

 

 

 

最近批判の的となっているWHOからはぶられ、独自の対応を行った結果、被害を最小レベルにとどめており、本日のFTの別の記事によれば、IMFなどの予測でも台湾経済は他の国と比べて圧倒的に経済ダメージが少ないらしい。

 

 

 

それもこれも、感染者を早期に抑えこみ、ロックダウンやら休校やらをほとんど行っていないことが理由にある。

 

 

 

今後も「コロナ対応=国際社会での影響力」という構図が続くのであれば、もはやコロナ対応は単なる危機対応という事象にとどまらない。

 

 

 

こうした国際世論の変化を踏まえた上で日本政府が行動を起こしていれば、今日のFTの社説には中国ではなく日本が取り上げられていたかもしれない。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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