Unsocial Hours

諜報員の日々のつぶやき

キッシンジャー「世界秩序は二度と元には戻らない」

 

お疲れ様です、かるなです。

 

 

 

これまで様々な偉人たちがコロナ危機を前に意見を述べてきたが、ついに米国の誇る偉大な外交官、ヘンリー・キッシンジャーまでもが自らの意を口にした。

 

 

 

キッシンジャーといえば、冷戦期の米国で、ニクソン、フォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官国務長官を務めた最も偉大な外交官の一人国際政治学者でもあるキッシンジャーは、多くの書籍・回顧録も出していて、研究者の間でも広く読まれている。

 

 

 

そのキッシンジャーがコロナに関して、昨日のウォールストリートジャーナルに寄稿を投稿した。タイトルは新型コロナウイルスパンデミックは世界秩序を永久に変える」The Coronavirus Pandemic Will Forever Alter the World Order

 

 

 

 

「ウイルスのパンデミックが過ぎ去った後、多くの国の機関は対応に失敗したとみなされるだろう。このような評価が客観的に見て妥当か否かは重要ではない。現実として認識しなければならないことは、世界はウイルスが過ぎ去った後、決して元には戻らないということだ」

 

 

 

米国政府は、差し迫る大惨事を回避する上で堅実な対応を行っている。…しかし、どんなに幅広く必要な危機対応を行ったとしても、喫緊の課題として、ポスト・コロナの秩序に向けた取り組みを並行して進めていかなければならない

 

 

 

 

 

キッシンジャー氏は、ワクチン開発に向けた研究を急ぐことや、経済復興、そしてリベラルな世界秩序の維持も訴えたが、やはり印象に残るのは、世界秩序の恒久的な変化を指摘している点だろうか。特に経済的なインパクトについては、歴史上、経験したことのない現象だと語っている。

 

 

 

世間一般では、足元どのように対応すべきかという議論が中心となるなかで、キッシンジャー氏の主張は明らかに未来に焦点が向いている。

 

 

 

 

ちなみにトランプ政権の対応を「堅実」と評価しているところは、共和党寄りのウォールストリートジャーナルへのご愛嬌といったところだろうか。

 

 

 

 

過去にもコロナ後のパワーバランスについて専門家が声を発していたが、キッシンジャー氏の主張で目立つのは、世界秩序の復元を明確に否定したことだろうか。

コロナ後のパワーバランス - Unsocial Hours

 

 

 

例えば、今回のコロナ危機としばしば対比されるのは2008年のリーマンショックだ。この時は金融部門が中心となり危機を迎えたものの、その後の量的緩和や規制見直しで、今はその爪痕もあまり感じられない。

 

 

 

しかし、今回のコロナ危機は、世界秩序・世界の在り方そのものを未来永劫、変えてしまったキッシンジャー氏はこの事実を再度真摯に受け止めるよう世界に警鐘を鳴らしている。

 

 

 

 

やはり一番大きく変わると思うのは、他国との関係性だろうか。

 

 

 

コロナ危機を経て、サプライチェーンの依存が大きく問題になったことから、各国はもう二度と重要産業を他国に依存するようなサプライチェーンは敷かないはずだ。各国で補い合うというよりかは、有事の際に自前でどうにかできるよう国内産業の保護が強化されるのは間違いない。

 

 

 

そして政治体制についても国際機関の脆弱性が浮き彫りになった。国連、EU、WHO、これらのいずれの機関もウイルスへの対応に大きな貢献は見られず、今後、有事の際に国際機関を当てにしようと考える国は決定的に少なくなると思われる。

 

 

 

逆にウイルス対応を比較的うまく実施しているのは、中国やシンガポールなどの社会主義国独裁国家であり、ガバナンスの観点から西側諸国が掲げてきたリベラル民主主義の正当性が大きく揺らぐのは間違いない。既にハンガリーなどの一部の国では、コロナ対応を機に独裁化が進んでいる。

ノブレスオブリージュの精神 - Unsocial Hours

 

 

 

 

経済の保守化、リベラルな国際秩序の終焉、など世界秩序への恒久的な変化が目に見える今だからこそ、新たな世界秩序に備えた準備をしていけ、とキッシンジャーは訴えている。

 

 

 

しかし、キッシンジャー氏は、世界秩序が変わるからといって、まだ見ぬ未来に向けて各国で覇権争いをしろと言っているわけではない。むしろ、新しい未来を形作るための準備をしろと最後は結んでいる。

 

 

 

 

「今、われわれは新たな時代を生きている。指導者たちにとって歴史的挑戦となるのは、この危機に対処するのと同時に、未来を作り上げることだ」

 

 

 

 

ウイルスへの対応は、最低でもワクチンが開発されるまで1~1.5年くらいは続き、その後の新たなサプライチェーンの構築にはさらに10年くらいかかるだろうか。しかし、コロナ危機で浮き彫りになった政治体制への不信は一体どれくらいの時間がたてば払拭されるのか。

 

 

 

キッシンジャー氏が今回の寄稿で、経済体制やパワーバランスという言葉ではなく、あえて「世界秩序(World Order)」という言葉を選んでいるのには、特別な意味が込められているのかもしれない。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

記事を気に入っていただけたら、励みになりますので、以下のバナーもクリックいただけると大変嬉しいです。(サイドバーにも貼ってあります)


海外ニュースランキング

 

Twitterもやってますので、よければこちらもどうぞ ↓↓

かるな (@unsocial_hours) | Twitter

 

f:id:Unsocial_Hours:20200405040220j:plain