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地政学的覇権争い

 

お疲れ様です、かるなです。

 

 

 

本日、日本の安倍総理がコロナ危機に関して「現時点で緊急事態宣言を出す状況ではない」との認識を示した一方、世界の指導者たちの認識はそれとは少し異なるようだ。

首相「緊急事態宣言出す状況にない」 午後に専門家会議(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 

 

 

本日の英フィナンシャルタイムズ紙に、ドイツのシュタインマイヤー大統領、ヨルダンのアブドラ国王、シンガポールのハリマ・ヤコブ大統領、エチオピアのゼウデ大統領、エクアドルモレノ大統領の5人が共同寄稿を投稿した。5人は欧州、中東、アジア、アフリカ、南米の5地域をそれぞれ代表しているとされる。

 

 

 

 

この寄稿を通じて5人の指導者は、コロナ危機は「世界全体の危機」で世界各国の「協力と団結」により乗り越えられると改めて強調した。

 

 

 

 

「世界各国は、パンデミック対応で内向きになりつつあり、国境閉鎖や過激な行政措置により、独力での解決を図ろうとしている。しかし、各国間の情報共有や協力を阻む国境という壁を取り払うことで、世界はより効果的にウイルスへの封じ込め・反撃を行うことができる」

 

 

 

一国のみ、あるいは一部諸国だけが勝利を勝ち取ることはない。経済や人口の大きさにかかわらず、各国すべてが何かしらの形で貢献できる要素を持っている。世界全体で解決策を模索することは、あらゆる人々の利益にかなうものだ」

 

 

 

「貧富、年齢、性別にかかわらず、あらゆる人々のことを思い、団結の精神に基づき、これを成し遂げたい。それにより人々の命が救われ、最善の結果がもたらされる。そしてそうすることで明日の世界をより良い空間へと変えることができる」

 

 

 

 

 

ここで述べられている「独力で解決を図ろうとしている」国に果たして日本は含まれているのだろうか?

 

 

 

「今、この時点で、『緊急事態宣言』を出す状況ではないと考えている。基本的には何よりも、国民の命、健康を守ることを第一に判断していきたいと考えている」と安倍総理は本日の参議院決算委員会で述べたが、日本と世界の間に「温度感の差」が感じられるのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

ちなみにこの寄稿のタイトルは、「今は地政学的な覇権争いをしている場合ではない」"This is not the time for geopolitical turf battles"

こちらは米国や中国などに向けられた言葉だろうか。

 

 

 

 

この寄稿、ぱっと見は豪華に見えるのだが、寄稿者の顔ぶれはあくまで象徴的な役割のみを担うメンバーにとどまっている。

 

 

 

ドイツであれば、メルケル首相、エチオピアであればアビー首相、ヨルダンやシンガポール政権運営を担っているのは今回寄稿を行った大統領ではなく首相であるような気がする。それ故に個人的に、この寄稿はどこか派手さにかける印象があるのは余談。

 

 

 

そして欧州・アジア・中東・アフリカ・南米と来て、なぜか北米(米国)が含まれていないことには何かしらの意図があるのだろうか。

 

 

 

 

この寄稿が出される少し前には、国連のグテーレス事務総長がコロナ危機に関して第二次世界大戦以降で最も困難な危機」との認識を示し、戦争を想起させる表現、そしてそのインパクトの大きさから、各国のメディアが大きく報じている。

国連事務総長「第2次大戦以来の危機」 各国に連帯訴え [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 

 

 

直近の記事でも取り上げたように、この手の世界全体の団結を呼びかける動きが日に日に強まっている。

幻の世界政府 - Unsocial Hours

エチオピア首相「アフリカ救わないと世界が終わる」 - Unsocial Hours

テドロス事務局長、ワシントンポストで世界に懇願 - Unsocial Hours

 

 

 

本来であれば、日本のように比較的被害の低い国が早々に国内の対応を完封し、苦しんでいる国に医療物資や医師などを派遣することが、世界のパンデミックの逆流を防ぐ上でも、国の評価を高める上でも最善だと思われるが、現実は程遠い。そして皮肉なことに、今まさにそれを行っているのが現在の中国だ。習近平のしたたかさが伺える。

 

 

 

今日ちらっとみたニュースによると、中国では国内の各省ごとに各国・地域への支援ノルマが課せられているようで、中国の各省は中央政府から与えられたノルマをこなすためにも各国に支援を行わなければならないようだ。

 

 

 

「神奈川県は今月末までにイタリアに医者100人、医療物資2トンを送るように。できなければクビ」「分かりました(震え声)」などというような会話がなされているのかと思うと秀逸だ。

 

 

 

 

ちなみにウォールストリートジャーナルの以下の記事によると、中国に続き、ロシアもイタリアに医療隊を電撃派遣したようだ。イタリア語、ロシア語、英語の3言語でロシアより愛をこめてとの標語を掲げる軍用車両がイタリアの街を走行する様子が伝えられている。

コロナで政治駆け引き、イタリア入りしたロシア部隊 - WSJ

 

 

 

このロシアによる医療隊の派遣はイタリア当局内でも意表を突いた動きだったらしく、EUの制裁対象となっているロシアからこのような支援があったことに、国内で批判が生まれたほどらしい。支援を受けている側なのに、支援先の国が相容れない国だからといって批判が生まれるとは何ともやるせない。

 

 

 

ちなみに、EUNATOなどの西側諸国からは、いまだにこのような医療支援は行われていない。

 

 

 

通常であれば、「中国やロシアなど社会主義寄りの国々による政治的陰謀・策略だ!」と一蹴できるところも、国民の命に関わる支援をされたとなっては、支援を受けた側もそれなりに恩を感じぜざるを得ないだろう。

 

 

 

今まさに世界が置かれている状況では、中国やロシアは、支援した先の国に無条件で「貸し」を作ることができ、またいつもなら政治的策略と批判されるところも、倫理的な観点から封殺できる。こんなに美味しい機会もなかなかないだろう。

 

 

 

こういう偏見やひねくれた考えを今は持っている場合ではない!地政学的な覇権争いなど今は二の次だ!という思いが、今回5人の指導者が行った寄稿に込められているのだろう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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