国連英検特A級に合格した話(面接編)

 

前々回から続けてきた国連英検特A級対策も今回紹介する2次の面接対策が最後になる。

国連英検特A級に合格した話(筆記編) - Unsocial Hours

国連英検特A級に合格した話(記述編) - Unsocial Hours

 

 

1次試験の結果が怪しかったので、結果が出るまで(試験日の約1カ月後)は国連英検の勉強を放棄していた。そして無事に1次通過の通知連絡を受け、喜びと落胆の双方に襲われながら、しぶしぶ勉強を開始した。この時点で2次試験までは約2週間強、まさに付け焼刃だ。

 

 

今回に関してはもはや対策と呼べるかも怪しいので、一個人の体験談としてお読みいただければ幸いだ。

 

 <目次>

  

面接の概要

 

評価項目

 

面接はネイティブスピーカー1人と日本人の専門家(外交実務経験者、大学教授等)1人が相手で、時間は約15分。面接開始後にタイマーがセットされてデュエルスタートだ。

 

 

評価項目は以下の4つだ。2のSpeakingは3つの項目に細分化される。比重はそれぞれ25%ずつ、各項目10点満点で、全体で平均8点以上取れば合格となる。

 

1)Comprehension(理解力)

2)Speaking

  ・Pronunciation(発音)

  ・Fluency(流暢さ)

  ・Structure(構文力)

  ・Vocabulary(語彙力)

3)Communication(コミュニケーション力)

4)Knowledge(international affairs)(国際知識)

 

 

面接シート

 

受験者は面接室に通される前の待合室で、事前に面接シートなるものの記入を求められ、入室後に面接官に手渡すことになっている。記入項目は、家族構成、住所、職業、特技、学生時代の専攻、趣味・関心のあること、好きな作家・愛読書、尊敬する人物、海外経験、訪れたい国の10項目だ。

 

 

面接官は多くの場合、このシートの記載内容を参考に質問を行う。つまり、こちらである程度、質問内容を誘導できるのだ。短い対策時間で面接を突破するにはこれを生かさない手はない。逆に言えば、答えられないことは書かないことが大事だ。例えば海外経験がある人の場合、その国の情勢について突っ込まれて困るようならあえて正直に書く必要はないだろう。

 

 

また、面接官2人に対し、こちらが記載するシートは1枚で、私が面接に臨んだ際も片方の面接官がシートを確認した後、もう1人の面接官にパスしていたように見えた。そのため、ぱっと見で面接官の頭に残るよう各項目は単語レベルで大きく分かりやすく書くことをおすすめする。

 

 

私の場合は、家族構成、住所、職業、学生時代の専攻、尊敬する人物、訪れたい国に加え、趣味・関心の項目にUS-China relation, future US-Japan relation, newcoronavirus とでかでかと書いておいた(実際にこの中からの質問もあった)。

 

 

ちなみに、待合室での時間はあまり多くなく、運営側から面接シートの記入を急かされる場合もあるため(他の受験者が実際に急かされていた)、あらかじめ記載内容を準備しておくとベターだ。

 

 

 

面接対策

 

質問の傾向

 

面接の概要がつかめたところで、次は実際の対策についてだ。まずは質問の傾向や内容を探るため、合格体験記を読み漁った。

 

 

まず分かったことは、どの受験者も何らかの国連関連の質問を受けている。国連英検という試験の性質上、これは当然といえば当然だが、おそらく面接官は何かしらの国連関連の知識を問うよう指示されているのではないかと思う。私がネットや合格体験記をみて把握した限りでも、以下のような質問が過去になされたようだ。

 

・国連の目的

・現在の国連加盟国数

・グテーレス事務総長について

・国連のアフリカへの貢献、例としてコンゴへの貢献内容

・高齢者ケアに向けた新たな国連機関の設置に関するアイデア

・最近の国連の活動で気になること

・国連が貢献していると思うこと、逆に貢献できていないと思うこと

・最も効果的に活躍していると思う国連機関

・国連の組織はこのままでよいか

・国連機関で働くなら、どの機関で働きたいか

 

 

正直、国連関連知識に関する質問を読み切ることは難しいと思うが、その年のイベント的に聞かれやすい項目は最低限、準備しておく方がよさそうだ。

 

 

次に、国際情勢関連の質問だが、過去の体験記を読む限り、ロヒンギャ移民・難民問題、環境問題、AI・テクノロジーの発展、人権、少子高齢化格差社会についてなどが頻出度の高い分野のように見受けられた。しかし、これは各受験者が面接シートに記載した内容が聞かれただけの可能性もあるため、面接官がこれらのテーマについて積極的に質問を行っていると結論づけることは難しい。だた少なくとも比較的多くの受験者がこれらのテーマについて解答しているということなので、これらの分野について自らが解答する際は、他の受験者との差別化を意識してより詳しく説明した方がよさそうだ。

 

 

これらに加えて、最後に何か話したいことはあるか?という質問を受けたと答えている受験者を多く目にした。おそらくこれは時間が余った場合や、面接官側の質問が尽きた場合になされる質問だと思うので、この質問が来たとき用の回答を1つ準備しておくといいかもしれない。

 

 

対策方針

 

質問の傾向がつかめたところで、次は面接に臨む上での方針・戦略についてだ。上述の通り、1次試験の合格通知から2次の面接までは2週間強しかない。面接の評価項目を見る限り、2番目のSpeakingセクションにおける発音・流暢さ・構文力・語彙力あたりをたった2週間で劇的に変えることはおそらく難しいだろう。また、聞かれうる国際情勢全てを網羅することも不可能に近い。

 

 

面接シートである程度、質問内容を誘導できるという前提を踏まえれば、この2週間でできることは必然的に自らの得意分野に関する質問への回答準備を徹底することにおおむね限られる。他の分野については、上述した例年聞かれやすいテーマやその時点でホットなテーマに絞り、その他の細かい分野については潔く切り捨てることをおすすめしたい(だいぶ勇気がいるが、、)。

 

 

ここまでくれば、あとは1次の記述対策と同じで、私の場合は得意分野での回答や想定される質問をとにかくワードにまとめた。この作業を行うにあたっては、回答の原稿を作るというより、自分が話すつもりの内容を箇条書きするだけでいいように思う。私の場合、原稿のようなカンペを作るのに必死で、結局内容が頭に入らないまま本番を迎えてしまった。最後に何か話すことはあるか?という質問に対する回答や、これだけは外せないというテーマでの鉄板ネタくらいは丸暗記しておくと便利かもしれないが、それ以外の分野についてはパニック防止程度の感覚で用意することをおすすめする。

 

 

戦う相手は誰か?

 

ここまで色々と書き連ねてきたが、正直言うと、私は2次の面接については最初からあきらめていた。準備期間が短く、自分が対策した以外の分野に質問が集中すれば詰むのは目に見えていたし、何より他の受験者のレベルに圧倒されていた。

 

 

最初のきっかけは1次の試験会場だ。この試験のレベルを考えれば不思議ではないが、英語の試験会場で初めてネイティブの受験者を目にしたのだ(楽し気にトイレで英会話していた)。仮に1次が受かったらこのネイティブたちと面接で比較されるのかと思うと大いにやる気をもっていかれた。

 

 

また1次合格後にツイッターで突破報告を行っている人々の中にはTOEFL110超えの方などもいた。自分の今の英語力がTOEFL換算でどれくらいかは分からないが、TOEFL110超えのすごさは十分よく知っている。ほぼネイティブだ。これらのネイティブ・準ネイティブ勢が集うような面接試験のために、たかだか2週間対策をして一体、何が変わるのだろうか?と不覚にも思ってしまった。

 

 

しかし、今こうして振り返ると、これらのネイティブ勢ははなから自分の競争相手ではなかった。これらの人々は自分が何をしようが太刀打ちできない。であれば、自分にとっての真の競争相手は、自分と同程度の英語力を持つ受験者たちだ。これらの受験者をいかにして本番の面接で上回るか、この一点こそが何よりも重要だった。

 

 

これらの人々も多かれ少なかれ自分が上記でつづったような対策をしてくるはずだ。逆に言えば、何をすればこれらの人々と自らを差別化できるのだろうか。この疑問を解決する上で最も役立ったのが、以前も紹介させていただいた以下の方のブログでつづられている「うざいくらい知識を見せつける」という言葉だった。

eigoblog0405.com

 

 

この「うざいくらい知識を見せつける」というのは、評価項目の3番目「コミュニケーション力」と4番目の「国際知識」に直結する。仮に同程度の英語力を持つ受験者2人がいたとして、面接官からの質問に1問1答で答える受験者と、質問に対し少なくとも数分は話し続ける受験者とでは、印象が全く異なる。後者は自ら積極的にコミュニケーションを図ろうとし、知識という観点でも前者を大きく突き放すだろう。

 

 

面接当日

 

上記の対策を意識した上で、実際の面接当日の流れを以下に紹介する。

 

 

面接シートの記入もあるため、当日は試験開始の15分前くらいに会場に到着した。

 

 

受付を済ませ、待合室での待機を命じられた私は、とりあえず一番人が少ない待合室を選び、渡された面接シートの記入を始めた。もちろん記入内容はあらかじめ決まっているため、ささっと書き終え、呼ばれるのを待った。

 

 

先に待合室にいた受験者は、運営が呼び出しに来た際に面接シートの記入が終わっておらず、何回か催促されていた(ずいぶん細かく書いている、あるいは記入内容に悩んでいる様子だった)。

 

 

そうこうしているうちに私も運営側から呼ばれ、面接室の前に案内された後、中から呼ばれるまで椅子に座って待つように指示された。

 

 

横を見ると、小学校高学年くらいの女の子が隣の部屋の前の椅子で自分と同じく呼ばれるのを待っていた。まもなく自分の面接室から前の番の人が終わって出てきたが、今度は白髪のお年寄りだった。予想はしていたが、まさに老若男女の受験者がいるらしい。

 

 

この時点で年甲斐もなく相当緊張しており、カンペの内容などほぼ頭からふっとんでいたが、しばらくして中から声がかかり、自分の面接が始まった。

 

 

面接官は心地よい英国アクセントの若い女性と60代くらいの日本人男性(いらゆる日本人英語)の2人だった。おそらく日本人男性の方が外交実務経験者などの専門家だろう。緊張もあってあまり詳細な会話内容までは思い出せないが、とりあえず思い出せる限りの質問と回答を以下に記載する。質問者についても(英)→ 女性、(日)→ 男性 という形で付記しておく。

 

 

Q1)自己紹介をお願いします(英)

 → 名前、職業、業務内容を簡単に説明。

 

Q2)最近気になるニュースはあるか?(英)

 → 最近読んだ北朝鮮でのコロナの状況に関するニュースの概要を説明(自らの業務内容的に聞かれると予想していたので、これについてはカンペ通り)。

 

Q3)国連はコロナ禍でさまざまな対応を行っているが、主な取り組みを教えてほしい(英)

 → WHOが保健対応のガイドラインを日々発信しており、テドロス事務局長を中心に定例記者会見で最新のモニタリング状況を伝えていることを説明(緊張でこれだけにとどまってしまったが、本来であれば、WFPがコロナ禍の難民支援でノーベル平和賞を獲得したことや、UNICEFの取り組みなどについても触れればよかったと反省)。

 

Q4)WHOは中国の傀儡だという批判がなされているが、それについて同意するか?(日)

 → WHOのパンデミック宣言が遅れた点やテドロス事務局長が中国の対応を賞賛した点に触れた上で、テドロス事務局長の出身国であるエチオピアは中国から多くの資金援助を受けており、それを理由に中国の味方についた可能性はあると説明。しかし、それは初期段階の話で、一連の批判を受け、WHOは対応を見直しており、その一環として武漢に発生源調査チームを送ることが決まったことを説明(初の日本人側からの質問ということもあり、ここは「うざいくらいしゃべり倒す」ことを意識)。

 

Q5)中国の台頭が近年、大きく注目されている。米国では大統領選が行われ、バイデン氏が大統領に就任し、大きな転換点を迎えている。このような状況下で、中国の台頭は米国の新政権、また今後の日本にとって問題や脅威になると思うか?(日)

 → 中国は多くの面で問題をもたらしている。南シナ海での軍事活動、米中貿易戦争、外国企業への技術移転の強要、知的財産権侵害などの問題が報告されており、直近では香港国家安全法が施行された。この問題を巡り、2020年夏に開かれた国連人権理事会では、53カ国が中国の動きを支持した一方、反対したのは27カ国にとどまった。支持した53カ国の大半は、中国の世界的インフラ構想「一帯一路」で中国から資金援助を受けるアフリカ諸国であり、国連加盟国内部でも西側諸国と中国との間の対立が浮き彫りになっている。国連が中国との新たな政治闘争の場になりつつある点は、少なくとも日本や米国を含む西側諸国全体にとって大きな問題だと思う(いうまでもなく後半は全てカンペから引用。論理はめちゃくちゃだが、とにかく知識量をみせつけることを意識)。

 

Q6)自分の仕事の業界は今後どうなると思うか?(英)

 → 国際情勢を分析する上で近年フェイクニュースの存在が多く指摘されるようになった。これらのフェイクニュースを見抜くためにも、特定の国に偏らない中立性が重要になってくると思う。これらの中立性を維持する上では国際的に独立した第三者機関の存在が不可欠だが、それを担う選択肢の一つに国連が挙げられる。国連のような国際機関が指導的役割を果たし、情報の取捨選択の質を上げていくことが課題になると思う(こちらは予想外の質問で、その場で適当に話さざるを得なかった)。

 

Q7)近年AI、ドローンなどのテクノロジーが発達しているが、国連はこれらのテクノロジーの発達について何らかの規制を設けるべきか?(日)

 → 例えばAIについては、AIの発達により格差が生まれるとの見解が示されている。現状、AIは導入コストが高く、富裕層や大企業のみのツールとしてみなされている。これらの層の人々や企業がAIを活用して利益を拡大すれば、導入できない貧困層や中小企業との格差が拡大していく。このような格差を防ぐためにも国連のような独立した第三者機関が国際的な規制を設け、AIの平等な利用を促進することは一つのアイデアとして考えられる(AIについては例年の質問傾向から予習済みだったので、ここも予習内容を思い出すように唱え続けた)。

 Q)ドローンについてはどうか?例えばドローンを使った戦争などについても、国連は規制を設けるべきか?(日)

  → 実際に中東諸国などの紛争地域では毎日のようにドローンを使った戦いが行われ、人的被害が出ている。ドローン同士が戦うことで人的被害が抑えられるのであれば、それについて規制を課す必要はないと思う(ドローンは対策外だったため、とりあえず当たり障りない内容をその場で回答)。

 

Q8)近年、追跡アプリが普及しているが、これに対しては規制を設けるべきか?(日)

 → コロナ対策においても追跡アプリは濃厚接触者の特定などで大きな役割を果たしている。一方で、パンデミックの初期段階では、欧州諸国で追跡アプリ導入論が浮上した際、プライバシーの問題を巡り大きな議論が生じた。追跡アプリによって収集されたデータが適切に管理され、プライバシーの侵害につながらないと保証できるのであれば規制は不要だが、その危険性があるなら規制は設けるべきだと思う(こちらも予想外の質問だったが、奇跡的に欧州のニュースには詳しかったため、その場で思い出せる限りの知識を披露)

 

 

最後の質問に答えている途中でタイマーが鳴り、答え終わった段階で面接終了となった。

 

 

このやりとりからわかる通り、ネイティブ側の質問は一般的な内容が多く、国際情勢などは全て日本人側からの質問となった。正直、日本人側の質問は、いかにも日本語をそのまま英語にしたような長めの質問が多く、少々理解しにくい部分もあったが、そこは意地で質問意図を汲み取った。

 

 

国連関連の質問がコロナ関連だったことは単に運が良かった。また面接シートに書いた中国関連の質問がなされたことも自分的にはありがたかった。AI・ドローン関連の質問は予習していなかったら相当やばかった。それ以外の予想外な質問はそこまでトリッキーなものでなかったのが救いだ。

 

 

全体の感想として、体感的に15分はあっという間だった。どれくらいあっという間かというと、最後に何か話したいことはあるか?という質問がなかったくらいには回答に夢中になっていた。終わった後、正直、自分が話しすぎてしまい、相手側にうんざりされたのではないかという不安がよぎった。「うざいくらい知識を見せつける」という方針を意識しすぎて、最低限必要なコミュニケーションをないがしろにしてしまったのではないか、そんな気持ちでいっぱいだった。

 

 

しかし、ふたを開けてみれば、コミュニケーションの評価項目は「8」と合格点をもらえていた。また国際知識も「8」となり、この2つの点が合否を分けた。聞かれるか分からないSDGsの分野の知識補充を捨て、自分が話したいことに特化したことが功を奏したのかもしれない。

 

 

おわりに

 

気軽な気持ちで受験を決めた今回の国連英検だったが、知識補充や記述・面接対策など、想像以上にハードなものとなった。投じた時間は間違いなく過去最多で、合格時の達成感はすさまじかった。合格体験記で、この試験を通じて自らが成長したという意見を多く目にしたが、まさにその通りだった。これに受かったことで何か自分の道が今すぐに開けるというわけではないが、これをやりきったという事実が大きな自信となったのは間違いない。

 

 

そのハードさゆえに気軽な受験は勧められないが、これからこの試験に挑む方々にとって、今回の自分の経験が少しでも何かの役に立てば非常に嬉しい。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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国連英検特A級に合格した話(記述編)

 

前回の投稿に続き、今回は国連英検特A級1次試験の記述対策について紹介したい。

unsocial-hours.hatenablog.com

 

 

前回の記事の中で私の対策は付け焼刃の対策だと述べたが、記述対策についてはそこそこ真剣に取り組んだので、前回紹介した対策よりは役に立つのではないかと思う。

 

 

前回紹介した通り、記述問題での得点目標は20点中18点を獲得することだ。実のところ、英検1級のWritingセクションで満点を獲得(プチ自慢です)して以来、自分の英作能力にはわずかながら自信を感じていたため、今回の試験でもやや高めに目標を設定した。

 

 

過去問の模範解答を見ると、書き方などもバラバラでどこか対策しづらい印象だが、今回の記事では私なりの分析と対策を紹介したいと思う。 

 

<目次> 

 

 

問題の傾向

 

まず対策を行う上で最も重要な毎回のお題の傾向についてだが、これはご親切にも公式HP上で過去のテーマが一覧形式で紹介されている。

国連英検 : 作文問題過去出題テーマ

 

 

これを見ると、毎回、各分野での国連の役割・活動が問われており、国連の活動を列挙すれば解答として成り立つようなものが多い

 

 

ただ、たまに例外的なお題もある。例えば以下がそうだ。

 

・Why is the work of the United Nations more relevant, effective, and urgent now than at any time in history?(2019年度第2回)

 

・How has Japan's nuclear crisis affected the future use of nuclear energy around the world?(2011年度第1回試験)

 

 

上の方の質問は自分で国連の活動分野を定義する必要があるが、ある分野での国連の活動とその意義を答えるという点ではそこまで他のお題と変わらない。下の質問はもはや国連知識とは関係していない異例のお題ともいえるが、これから分かることはその年にホットなテーマが出題される可能性があるということだ。それを裏付けるように、私が受けた2020年の回ではコロナ関連のお題が出た。これだけで毎年ホットなテーマが出題されていると結論づけるのは難しいが、少なくとも何かしらの一大イベントがあった年は、ある程度お題を予想することができるのは確かだろう。

 

 

全体の文章構成

 

ざっくりとお題の傾向がつかめたところで、次は記述時の文章構成についてみていきたい。

 

 

まず分量としては200~250語という目安が定められている。英検1級も同じ目安だったのでなんとなく分量のイメージはついていたが、不安な方はWordなどで実際に打って確認してみるといいかもしれない。

 

 

この分量であれば、基本的にはいわゆる「5パラグラフエッセイ」(導入・理由3点・結論)の形が一番準備しやすい。私もそうした。各パートでの文章数の目安としては、導入:1~2、理由:3~4ずつ、結論:1~2 といったところだろうか。

 

 

上述した通り、だいたいのお題では特定の分野での国連の活動を列挙すればおおむね解答として成立するので、この場合、理由3点の部分 ⇒ 国連の活動3つとして置き換えればOKだ。例えば、貧困撲滅について国連はどのような役割を果たしているか?というお題であれば、それに関する国連の活動を3つ挙げればよい。

 

 

国連の活動を列挙する上で少し悩ましいのは、一つの国連機関の活動を3つ挙げるべきか、あるいは異なる国連機関の活動を3つ挙げるべきか、という点だ。たとえば、人道支援分野では、UNICEF、WFP、OHCHR、UNHCRなど、該当する機関が多岐に及ぶ。しかし、やろうと思えばこれらいずれかの機関の活動を細分化し、列挙することもできる。これについては、お題にもよるが、基本的には別々の国連機関を挙げた方が楽だし、見栄え的にも国連知識の豊富さが垣間見えていいと思う。ただ分野がニッチでそもそも把握している国連機関の数が少ない場合などもあるので、その場合は一つを掘り下げるしかない。

 

 

全体の方針が決まったところで、これ以降はパートごとの書き方をもう少し詳しく説明する。ちなみに以降のパートでは個人的におすすめなテンプレ、フレーズ等を紹介していくが、これらの文章を考えるにあたってはネットなどで使用例があるかどうか一応検証しているものの、文法的に100%正しいかどうかは必ずしも保証できないため、その点は留意してほしい。

 

 

導入と結論

 

例えば、国連の活動を列挙するだけで事足りるお題の場合、いろいろネットやテキストなどで使えそうなフレーズを探して吟味したところ、私が主に使っていたテンプレは以下だ。

 

・複数の国連機関の活動を挙げる場合

(Since its early days,) The United Nations, since its inception, has been actively involved in promoting/protecting/achieving/improving/resolving 〇〇, focusing on/providing 理由①、理由②、理由③.

 

・国連機関1つの活動を掘り下げる場合

(Since its early days) The United Nations, since its inception, has been actively involved in promoting/protecting/achieving/improving/resolving 〇〇 through 国連機関, 国連機関の一言説明, focusing on/providing 理由①、理由②、理由③.

 

 

お題により多少の修正は必要だが、書き出しとしての汎用性はそれなりに高かった。Since~の部分は好きな方を使えばいいと思う。冒頭に持ってくる形式の方はテキストP.138の冒頭文章から拝借した。

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focusing on/providing~の部分は、理由3つの内容によっては短く列挙できない場合もあると思うので、その場合は1語でまとめるなり上手いアレンジが必要だ。この部分そのものを削除してしまうと、導入としてはどこか物足りない印象を受けるので、分子構文でも関係代名詞でもなんでもいいので何かしら書いた方がいいのではないかと思う。

 

 

個人的におすすめしないのは、導入部分で問題文の文章を繰り返すことだ。例えば以下のような形だ。

 

お題:How can the UN help countries ~ ?

 

解答:I will discuss how/some of the ways the UN help countries ~(以下お題と同じ) 

 

 

まず、問題文にある文章をそっくりそのまま繰り返すというのは記述力のなさを体現しているようなものなので個人的にはどうかと思う。また、「~についてエッセイを書いてください」と言われているのに、I will discuss~で始めるというところにも大きな違和感を覚える。

 

 

そもそもこの手のエッセイで「I」という主語を使うのはどうなのだろうか。英語で意見を述べるときには基本的に一人称の主語は登場しないのが自然で、実際に英語メディアなどを読んでいてもあまり登場していないと思う。そのため、たとえ導入・結論部分であっても使用しない方が自然だと私は思う。

 

 

ただどういうわけか、過去問の模範解答を見ると、多くが「I will discuss~」で始まっており、模範解答がそうしているなら正しいに決まっている!と考える人もいるかもしれない。ゆえに、この部分の考え方については受験者各人の判断に委ねる。

 

 

ただ個人的には、この過去問の模範解答の質に疑念を抱いている。この導入の書き方しかり、そもそもの文章構成もバラバラで、内容も決して論理的とはいえない文章も見受けられる。まるでその年の受験者の解答をまるごと載せたような、そんな印象さえある。少なくとも英検1級の過去問(もう捨ててしまった)はこのような書き出しではなかった気がするし、内容ももっと読者フレンドリーだった。まあそんなわけなので、ここは受験者各人が正しいと思う書き方をすればいいと思う。

 

 

これを踏まえて、結論部分も自分なりに納得のいく表現を模索してみた結果、以下が自分の使っていたテンプレになる。

 

Although these efforts are only a small part of the vast amount of the UN’s commitment to 〇〇, they underscore/indicate/show/reflect the importance/significance of their activities in the 〇〇の言い換え field.

 

 

こちらもお題により多少の修正は必要かもしれないが、基本的にはどのお題に関しても国連の活動を全て紹介できるわけではないため、だいたいのお題をこのフレーズで締めくくることができた。In conclusionなどのお決まりのフレーズを使う必要もない。後半の文章は they do~、certainly、surely、などで強調してもいかもしれない。

 

 

ちなみに、国連英検のお題的に導入部分ではできなかったが、意見が分かれるようなお題の場合、導入・結論パートは逆説から始めるというのが個人的に普段用いているテクニックだ。こうすることにより文字数を稼げるし、議論が分かれる問題で一方的に断言する不自然さをなくせる。例えば、お題で「国連は〇〇に対処する上で最適な機関か?」という問いかけが出されたとするなら、「While/Although/Whereas there have been some questions and concerns raised by a number of counrties regarding the UN's responce to 〇〇, the global agency(the UN), since its early days, has been~」のような形で書けるというわけだ。なので導入部分でも隙あらば使えるよう意識していた。

 

 

導入と結論はだいたいこんな感じだ。次にボディパラグラフの書き方を説明する。

 

 

ボディパラグラフ

 

記述を行う上で最も重要となるのがこのボディパラグラフだが、国連機関の活動を列挙するだけなら以下3点を3~4文でシンプルにまとめるだけでよい。

 

・国連機関〇〇は~の支援を行っている

・具体的な状況、支援内容

・(上記により)お題の分野では~な貢献・役割をしている

 

 

具体例を示すと以下のような感じだ。

 

・As one of the biggest UN humanitarian agencies, UNHCR protects human rights of worldwide refugees.

・The agency provides critical emergency assistance to refugees in war-torn countries in the form of clean water, healthcare, and other assistance packages that are needed to give them enough access to safety and asylum.

・These supports not only help protect refugees’ human rights but also prevents them from falling into the hands of terrorism.

 

 

これと同じような容量で活動を3つ挙げられればOKだ。ここまでくると、あとは各分野について該当する国連機関の打線を組むだけだ。出題されやすそうな分野から順に、記述の際に自らが起用する国連機関のラインナップを用意するのだ。参考までに自分がラインナップを考える上で優秀だった国連機関を以下に紹介したい。

 

UNICEF

人道支援、人権、保健、テロ、教育、民主主義の普及、貧困撲滅等、とにかく支援の幅が広い。

 

・WFP

→食糧危機、貧困撲滅、人道支援、人権、保健、気候変動など同じく支援の幅が広い。昨年ノーベル平和賞を受賞したことも印象深い。

 

・UNSC

→テロ、制裁などの政治問題をはじめ、その他ありとあらゆる違反に対して拘束力を伴う制裁の発動権を持つ主要6機関のうちの1つ。政治系の話題ならほぼ全て違和感なく対応できるのではないだろうか。

 

・ECOSOC

→経済、環境、社会、人権、教育、保健、ジェンダー、福祉等、ありとあらゆる経済・社会問題を担当する主要6機関のうちの1つ。カバー範囲が広すぎて、どこか逃げているような感覚にすら陥るので個人的にはあまり使いたくない奥の手といったところ。

 

 

正直、下2つの主要6機関については、特定の分野を担当している機関というよりは取りまとめを行っているトップ機関のため、本当に何も出てこないときの最終手段のような存在だ。

 

 

これらのラインナップ組みを徹底していれば、どんな話題がきても少なくとも何も書くことがない、というような状況は避けれるのではないかと思う。私の場合は、各分野ごとにラインナップを組み、回答内容をワードにまとめた。情報を集める上では、それぞれの国連機関の公式HPとウィキペディアで十分だ。それぞれ英語版を確認すれば、記述にそのまま使えそうなフレーズであふれているので、それらを組み合わせて自らの解答を作成した。

 

 

これらの解答を作成し始めて気づいたのは、ほとんどの国連機関は分野が違うだけで活動内容に大きな差はないということだ。多くの国連機関が共通のサービスとして、政策提言(policy advice)、技術援助(technical assistance)、専門的情報(technical information)を提供(provide/deliver/give)しており、国際的な対応(international response)を指揮・調整(lead/coordinate)している。そのため、活動している国連機関は分かるものの、具体的な支援内容が思い出せない、あるいは把握していないというような状況に陥った場合は、これらのいずれかを適当に書いておくだけでもそれっぽい感じになるだろう。

 

 

 

個人的おすすめフレーズ

 

ここからは個人的に使用する頻度の多かった便利フレーズを参考までに紹介したい。

 

 

・〜, a UN agency  for / responsible for / dedicated to ~, 〜

 

国連機関の活動を列挙する場合、とにかくそれぞれの国連機関の説明が必要になる。とりあえず何か国連機関の名前を出したら、その直後にその機関についての一言説明を入れておくと文字数稼ぎにもちょうどよい。「a UN agency」の部分は、UN entity、 UN-related organization、UN specialised agencyなど、言い換え表現を多く把握しておくと汎用性がさらに広がる。

 

 

・Acting / Serving as an international forum for ~, 

 

ボディパラグラフの冒頭などで使用した。Asから始めてもいいかもしれない。各文章をスムーズにつなげる表現を模索するなかで下手な接続詞よりはよっぽど役立った。だいたいの国連機関はその分野での 「international forum」なので汎用性も高い。この部分は他の表現に変えても十分機能する。

 

 

・~, focusing on ~

 

何らかの具体的な事実を紹介した後に付け加えたり、あるいは導入部分でボディパラグラフの内容を総括する際に用いた。隠れた立役者。

 

 

・in the form of ~

個人的なお気に入りフレーズ。どこかの国連機関HPから拝借した。先の例文でも使用したが、人道支援系のサービスなど、複数のサービスを列挙する上で、includingやsuch asなどよりもどこかフォーマルで使いたくなってしまう。

 

 

解答例

 

ここまで長々と説明してきたが、解答例がないとどこかイメージもつかみにくいと思うので、参考までに私が対策時に用意した解答一式を以下にそのまま掲載したい。所詮は純ジャパが作成した文章なので文法上のミスや不自然な部分もあるかもしれないが、恥を忍んで公表する。何かしらの役に立てば幸いだ。字数がオーバーしているのと、国連機関1つを掘り下げるパターンで書いている点はご容赦いただきたい(全文丸々用意したのはこれしかなかった)。私が受験した際はコロナ関連のテーマになる可能性が高かったので、お題は国連の保健対応についてだ。ちなみにこの記述だけは丸暗記して本番に臨んだ。実際のテーマはこれとは少し異なったが、解答を行う上で役立ったことは間違いない。

 

 

Q. What efforts is the United Nations making to promote international health protection?

 

Since its early days, the United Nations has been actively involved in protecting global health through the World Health Organization (WHO), one of its specialized agencies for international public health, focusing on providing health instructions, technical assistance, and emergency supports.


As one of the world's biggest intergovernmental entity, the WHO has set extensive international guidelines for addressing a wide variety of diseases across the world. Emerging diseases kill more than 17 million people a year, and the health situation in each country varies by its population size and local cultural elements. The WHO’s guidelines set out common standards and norms on which every country can rely in the rapidly changing health situations worldwide.


In collaboration with an international network of experts, the WHO also provides technical supports and trainings for local health organizations. According to a report released by the World Bank, at least half of the world’s population cannot obtain access to essential health services due to lack of effective medical facilities and trained medical practitioners. The WHO’s professional technical assistance for health control serve as a strong pillar for those who seek to enhance their medical capability.


Finally, the WHO has played a significant role in supporting its member states to respond to public health emergency. As seen in the current health crisis caused by the new coronavirus, the WHO has led the international cooperation to contain the spread of the deadly virus while keeping its efforts to stem other serious infection diseases in developing countries. With those viruses still rampant in the world, the emergency responses led by WHO will be more essential in wider areas.


Although these efforts are only a small part of the vast amount of the UN’s commitment to global health protection, they do underscore the importance of their activities in the health field.(301語)

 

 

次回は2次面接の様子を紹介するので、時間があればまた目を通してもらえると嬉しい。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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国連英検特A級に合格した話(筆記編)

 

最後の更新から3カ月以上経過してしまった。

 

 

実は昨年秋ごろから今回取り上げる国連英検特A級の勉強を始め、多くの時間をその勉強に充てていた。

 

 

先日、約半年弱の努力が実り、無事合格することができたため、今後数回の投稿でその道のりと対策を記録に残すことにした。ややマイナーな試験であまり対策ブログもないため、これから受ける方々にとって少しでも参考になれば嬉しい。

 

 

ちなみに、仕事の兼ね合いもあり、今回の試験勉強に充てられた時間は1次・2次合わせてもせいぜい2~3カ月ほどだった。そのため、これから紹介するのは付け焼き刃の対策でしかない。自分でも合格できたのはほんとに運が良かっただけだと思う。ゆえに、以下に紹介するやり方は、あくまで時間がない方向けの対策だということを念頭に置いて読んでいただきたい。

 

 

しっかりとした対策をお探しの方は是非とも以下の方のブログを参考にしてほしい。 eigoblog0405.com

 

 

おそらく多くの受験者がこの方のブログを参考にされているのではないだろうか。国連英検だけでなく、英語に取り組む姿勢や最終的な英語学習の帰結など、多くの点で参考にさせていただいた。私のブログなどよりはるかに分かりやすく丁寧にまとめられているので、まずはこの方のブログを読んでみてほしい。そして時間があれば、こちらのブログにも目を通してもらえれば幸いだ。

 

  

 <目次>

 

  

国連英検とは

 

 

英語の勉強をしている方であれば、国連英検の名前くらいは聞いたことがあるかもしれないが、多くの人々にとっては初めて耳にする試験かもしれない。

 

 

国連英検日本国際連合協会という組織が主催していて、その名の通り国連関連の知識が問われる英語の試験だ。合格すると、外務省経由で国連機関に派遣される際に受ける「JPO派遣候補者選考試験」という試験で加点となるらしい。

(詳しくは公式HPを参照 → 国連英検 : 試験概要

 

 

英検やTOEICなどの他の英語系の試験が純粋な英語力を計ることを目的としているのに対し、国連英検(特A級)は英語を使えるのを前提に国連の問題に答えるというニュアンスがやや強い。英語の試験というより、海外の大学で「国際連合概論」という名の授業を半年間履修したような、そんな感じに近い気がする。なんにせよ、どれだけ英語ができても国連関連の勉強・知識がないと受からない。

 

 

だからといって英語力がいらないかというとそんなことはなく、上記の公式HPによれば、特A級合格者のTOEIC平均は965点以上、英検1級保有率は91.1%というレベルの高さだ。

 

 

個人的にこの国連英検という試験そのものは前から知っていたが、受けようとは考えてなかった。理由はいくつかあるが、一番大きかったのはやはり国連関連の勉強が面倒だったからだ。

 

 

自分の場合、国連機関で働きたいという願望もなければ、何年か前に英検1級にも合格していたため、英語系の保有資格にもある程度満足していた。そのような状況で、受かっても大して役に立たず、しかも受かるためには相当な英語以外の勉強が必要になる国連英検は単にコスパが悪かった

 

 

そんな中、今回受験に踏み切ったのは、コロナ禍で時間を持て余していたことに他ならないが、コロナ禍でだらだらと生活するよりはその時間を利用して何か資格でも取ろうと思ったのが大まかな理由だ。公式HPをみると、特A級合格者のうち優秀者には外務大臣なるものが国連大使から直々にもらえるらしく、とりあえずはそれを受賞することを目標に設定した(そしてすぐ挫折した)。

 

 

今回受けた特A級で唯一ありがたかった点はリスニングがないところだ。正直、B級まではリスニングがあるのに最上位の特A級とA級からはリスニングがなくなるという試験形式は総合的な英語力を試す上でどうなのだろう。まあ、なんにせよ助かる。

 

 

前置きはこのくらいにして、これ以降は自分が試みた対策を項目別に紹介していきたいと思う。今回の記事では1次の筆記試験(記述を除く)の対策を紹介する。

 

 

 

1次試験対策

 

時間配分と得点目安

 

1次試験の構成と内容をざっくりまとめると以下の通りだ。()内は自分が設定した目安の解答時間(計120分)。あくまでも目安なので、多くの場合、想定通りにはいかなかったが、目標設定としてはおおむね間違ってはなかったと思う。

  

Ⅰ:国連知識(5分)

Ⅱ:長文読解(国際情勢)(20分)

Ⅲ:文法(正誤判断)(10分)

Ⅳ:文法(活用変化)(10分)

Ⅴ:長文読解(現代文)(15分)

Ⅵ:語彙力(単語組合せ)(10分)

Ⅶ:語彙力(類義語)(10分)

Ⅷ:語彙力(穴埋め)(10分)

Ⅸ:記述(30分)

 

 

この時間配分を念頭に置いた上で、以下のような得点配分を目指して勉強に取り組んだ。ちなみに例年の合格基準点は7割前後だ。結果としては、後述する大問Ⅰの予想外の失点以外は概ね目標に近い得点となった。

 

Ⅰ:国連知識(5分)   7/10

Ⅱ:長文読解(国際情勢)(20分)   8/10    

Ⅲ:文法(正誤判断)(10分)   10/10

Ⅳ:文法(活用変化)(10分)   10/10

Ⅴ:長文読解(現代文)(15分)   7/10

Ⅵ:語彙力(単語組合せ)(10分)   10/10

Ⅶ:語彙力(類義語)(10分)   5/10

Ⅷ:語彙力(穴埋め)(10分)   5/10

Ⅸ:記述(30分)   18/20

 

計 80/100

 

 

まず大前提として、今回の試験で私はいわゆる語彙・ボキャブラリー系の問題の対策をあきらめた。国連知識関連の勉強のウエイトが重すぎたのだ。中でも20点分を占める記述対策にはかなりの時間を費やした。

 

 

英検1級などの記述問題のテーマもそれなりに幅広かった気がするが、あくまで英語の試験のため、その分野に精通していなくても何かしら一般論の範囲内で答えることができた。しかしこの国連英検は違う。公式HPに載っている過去の作文テーマをみると、各分野での国連の活動について解答を求められ、それぞれの分野で活動する国連機関の活動内容が頭に入っていないと太刀打ちできない。例えば私の場合、気候変動、環境、人権、開発などの分野に関してはほぼ門外漢だったため、これらをテーマに出題されれば簡単に大量失点に結びつく可能性があった。

 

 

ただ毎年の傾向を見る限り、だいたいその年でホットなテーマが出題されているようなので(例えば2011年には3.11関連のお題など)、これに従えば今年のテーマがコロナ関連のものになる確率は非常に高かった(実際そうだった)。しかしだからといってコロナ関連以外の分野を切り捨てるという選択は私にはできなかった。

 

 

1次試験が約2カ月後に迫るなかで、仕事の時間やこれらの国連関連の勉強時間を差し引くと、語彙力強化・ボキャビルに充てられる時間は非常に限られていた。このわずかな時間を使って仮に単語を数百個程度覚えたところで、とても試験本番の得点に結びつくような成果は期待できない、そのような判断から語彙系の問題への対策はしぶしぶ切り捨てた(同時にこの時点で外務大臣賞もあきらめはじめたことは余談)。

 

 

色々もっともらしい理由を挙げてはいるが、個人的にこの期に及んで単語帳とにらめっこするのが単に嫌だったという側面も大いにある。ボキャビルせずに受かるならそれに越したことはない。

 

 

ちなみに、同じ語彙系の問題でも大問Ⅵだけ満点目標にしている理由は、大問Ⅵの単語選択は語感が養われていれば選択肢の単語の意味が分からなくても解けてしまうからだ。選択肢の単語の意味はどれも似たり寄ったりで真剣に考え始めるときりがないが、とりあえず普段のニュースで使われていそうな単語を選べば自然と正解できた。そういう意味ではニュースを読み慣れていないとややきついかもしれない。

 

 

ざっくりとはしているが、これらの点を前提として、以下にもう少しだけ細かい対策を紹介する。

 

 

暗記問題対策

 

試験問題を開けてまず最初にぶつかるのが大問Ⅰの暗記問題だ。これに関しては、以下の指定テキストからしか問題は出ないので、ひたすら覚えるしかない

新わかりやすい国連の活動と世界 | 公益財団法人日本国際連合協会 |本 | 通販 | Amazon

 

 

大学の軽めの授業で使用するテキストくらいの厚さで、なおかつ半分は和訳のため、思ったよりも暗記箇所は少ない。しかも過去問を解けば分かるが、出題されやすい箇所がある程度決まっているらしく、過去に出た問題を覚えれば半分くらいは取れるような仕様になっている。昨年までは。

 

 

実はこのテキスト、最近刷新され、2019年第2回までが旧テキストからの出題となっており、2020年以降は新テキストからの出題になると公式HPに書かれている。

国連英検 : 指定テキスト 改訂と出題範囲について

 

 

その結果、今年の試験がどうなったかというと、直近の過去問に主題されていた箇所が一切出題されなかった。厳密にいうと、私が解いた2017~18年の計4回+2019年第2回(公式HP経由で過去問を購入すると特典として直近1回分の問題・解答がもらえる)の計5回分の過去問で出題された問題は一切出題されなかった。そのため、それ以前の過去問にはもしかすると出題されていた可能性はある。

 

 

あまりテキストなどにお金をかけたくなかったので、直近4回分の過去問集1冊のみを購入したが、もしかするとそれが裏目に出た可能性はある。しかし、それ以前にテキスト内の出題箇所の配分が変わっていた

 

 

2017~18年の4回+2019年第2回に出題された問題を確認した限りでは、頻出度順に、

 

Ⅳ → Ⅵ → Ⅱ → Ⅲ → Ⅴ、Ⅰ、 付録(ともに計5回のうち1問だけ出題)

 

となっていた(旧テキストのため、新テキストにはないと思われる箇所からの出題もあった)。

 

 

しかし、今回の試験ではⅤ章からの出題が3問もあったほか、なんとⅦ章からも出題があった。また予想通り、Ⅳ章からの出題は多かったものの、どれもノーマークの箇所からの出題となり、結局、得点できなかった。

 

 

また新たなテキストでは、冒頭の章にグテーレス国連事務総長の演説が追加されたため、ここからも出題があるのではないかと予想していたが、その読みも外れることになった。過去のテキストの章と比較すると、どうやら新テキストのⅤ章やⅦ章も大幅改善されたのかもしれない。

(過去テキスト → わかりやすい国連の活動と世界―国連英検指定テキスト | 日本国際連合協会, UNA-J=, 日本国連協会= |本 | 通販 | Amazon

 

 

この予想外の失点に心が動揺したことは言うまでもなく、続く大問IIの長文読解でも緊張とパニックで最初の5分は全く内容が頭に入らず、時間が押してしまった。人間の脳はパニック状態になると認知機能が大幅に低下するらしいが、自分の脳も例外ではなかったらしい。

 

 

過去問をあてにして山を張った自分が悪いとはいえ、ここまで大きく読みを外されるとは思わなかった。次回以降がどうなるのかは分からないが、少なくとも新テキストの傾向がつかめるまでは、山は張らないことをお勧めしたい

 

 

 

読解力の強化

 

 

暗記問題の対策をしつつ、語彙系の問題を捨て、リスニング問題がないとなれば、あとはもう英語の読解力の問題だ。

 

 

 

1次の問題に出題される文章をジャンルごとにざっくり分けるとこんな感じだろうか。

 

・学術的文章(主に大問Ⅱ)

・抽象的随筆(主に大問Ⅴ)

・ニュースの抜粋(主に大問Ⅵ)

・論稿、コラム 

 

 

下2つは英語系のメディアを普段から読めばカバーできる。合格体験記をみると、さまざまな英語の猛者たちが各々の好む英語系メディアをどうだと言わんばかりに紹介しているが、正直、特A級の受験を考えている方であれば、自分が愛用しているメディアの一つや二つくらいあると思うので、これについては受験者各人が普段から用いているメディアを引き続き利用すればいいと思う。あえて個人的意見を述べるなら、BBCやCNNなどの通信社ではなく、新聞や雑誌の方が社説やコラム、寄稿があることに加え、使われている英語そのものの難易度が高いため、おすすめだ。

 

 

私の場合は、個人的バイブルかつ自身の英語力の源となっているFinancial Timesを対策にも利用した。愛用している理由は、①特定の国へのニュースの偏りが少ないから ②政治・経済の両ジャンルをバランスよく読めるから の2点に尽きる。FTはUK、Europe、US、Asia、Middle East、Internationalの6つのEditionを自由に選択できるようになっており、バランスの良さが際立っている。これは国内ニュースであふれている米国メディアと比べると特に顕著だと思う。ただ購読料が高い。毎月三千円弱は持っていかれている。

 

 

下2つの文章はこれでカバーできるとして、上2つの学術的文章と抽象的随筆については、個人的なリソースはなかったが、数カ月程度の勉強のためにわざわざ何か新しい媒体を購読するのももったいないと感じたため、新規の媒体拡充は行わなかった(拡充するとすれば、Foregin AffairsやEconomistあたりだろうか)。

 

 

代わりに、普段読んでいるFTのコラムの中でも特段難易度の高いものを積極的に読むようにした。もともとこの試験勉強とは関係なく通勤時に最低2本は何かしらのコラム・社説を読むことを1日のルーティン・課題としていたが、結局、出題される文章よりも難しい文章に普段から慣れ親しむようにしていれば、試験本番も余裕をもって挑めると思う。その点では普段自身で読んでいる媒体で最も難易度が高く、また自分にとって親しみがない文章をかたっぱしから読むことをおすすめする。難解なコラムは多くの場合、単語レベルも高いため、これらの文章に使われている単語を丁寧に調べれば同時に語彙力強化にもつながると思う。

 

 

個人的には大問Ⅴの抽象的随筆が一番苦手だったが、問題そのものは単語の意味を問うものが多く、語彙力があれば本来はあまり脅威となるような箇所ではないのかもしれない。ただ今回は語彙力強化なしで突破することを前提としたため、少ない語彙力で正解を選ぶためにも内容理解は必須だった。

 

 

 

以上が私の行った主な筆記試験対策だ。読解力や語彙力などの部分は個人差があるため、正直あまり参考にならないかもしれないが、一つの体験談として少しでも役に立てば幸いだ。次回の投稿では記述対策を紹介しようと思うので、よければそちらも目を通してもらえれば嬉しい。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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